787とともに…

航空好きの私が趣味で撮影した写真や航空業界のニュースについて様々考察していきたいと思っています!航空好きの皆さんと楽しめるようなブログを作っていきたいです!

【DREAM STORY】日本人の憧れHawaii

今回のDREAM STORYは日本とハワイの航空路線の歴史と今後を語っていきたいと思います。2019年はハワイ路線は転換期を迎えています。ANAからはA380の就航、JALは新サービスの開始とハワイアン航空との提携と大きな節目を迎えた。その日本人にとってハワイは昔からの憧れでリゾート地としては不動の人気を持っています。そんなハワイ路線を取り上げていきます!

Episode.1 繋がるハワイへ!

1945年、太平洋戦争が終結の日本はGHQの指示によって官民関係なく、全ての日本国籍の航空機の運航は禁止された。そのため、ハワイと日本を結ぶ航空路線は初めは日本の航空会社ではなくアメリカの航空会社となるのである。初めて結ばれたのは1947年のことで、パン・アメリカン航空、ノースウエスト・オリエント航空がホノルル経由の北米線を開設。その後1950年6月にGHQが日本の航空会社による航空輸送が許可されることになると、1951年1月には日本航空創立準備仮事務所が設置され、8月に日本航空株式会社が設立された。そして、3年後の1954年には初の国際線として、東京=ウェーキ=ホノルル=サンフランシスコがDC-6Bで週2便で開設された。価格は23万4000円。1957年には東京=ホノルル間がノンストップ化され、1959年には東京=ホノルル=ロサンゼルス線がDC-7Cで開設、翌年には東京=ホノルル=サンフランシスコ、東京=ホノルル=ロサンゼルスが相次いでDC-8に変更され、ジェット化された。この時期のハワイ路線は、リゾート路線という訳ではなく、まだまだジェット機といっても航続距離の短いB707DC-8など航空機。とてもアメリカ本土には届くはずもなく、太平洋を横断するための寄港地としての役割しかもっていなかった。しかし、ハワイはこのころリゾート開発は急ピッチで進んでいたが、ほとんどは北米からの観光客。日本人はまだ自由に海外旅行へは行けず、航空機はまだ民間人には届くはずもない高嶺の花。そのため、需要はビジネス、米軍、米軍関係が中心であった。

Episode.2 リゾート路線としてのハワイへ!

1964年、東京オリンピックが開催されたこの年日本人の海外渡航が自由化された。翌年の1965年にはJALの海外ツアー商品である「ジャルパック」が発売されるとリゾート路線として着目を集めることとなる。増えるハワイへの旅行客にJALは超大型機B747を東京=ホノルル線に1970年に導入。輸送力の拡大と1973年の円の変動相場制へ移行した事で、大衆にも手が届く価格へと変化していった事でハワイへの日本人観光客が大きく増加。この日本からハワイへの需要取り込みはJALだけには留まらず、パンナム、ノースウエストにも波及し、チャイナエアライン大韓航空も以遠権で日本経由の北米をハワイへ寄港する事で需要を取り込んでいった。ハワイへの観光客は1964年は約55万人だったのが、1972年にはには220万人を超え、1976年には約320万人に達した。以降、ハワイは日本人にとって最も人気の高いリゾート路線の地位を確立したのである。JALの機材、サービスの面から読み解くと、1981年モノクラス(オールエコノミー)のB747が就航し、1982年には、ホノルル線の独自サービスを開始した。このことからも、需要は多くあり、観光路線に特化したサービスを始めたことも伺うことができる。一方のJAL以外の日本の航空会社はというと、航空憲法とよばれた45/47体制が日本の航空産業を守るために1972年に作られ、日本の航空会社による国際線はJALのみと制限されていた。ANA日本エアシステムは国際線に参入することは許されることはなくこの体制は1984年まで続いてANAが成田発着のハワイ路線に定期便で参入したのは1988年まで待つこととなった。またANAなどの後発企業はなかなか厳しいものであった。1984年にANAはチャーター便で初めてハワイへ、1990年には今は亡きコンチネンタル航空が成田=ヒューストン線の経由便で新規就航した。日米航空協議の進展、日本の航空政策の変化に伴って、1991年にはJASが成田発着定期便を、同年にANAは名古屋発着の定期便を開設、アメリカウェスト航空も同年に名古屋発着で開設した。ANAアメリカウェスト航空は成田の発着枠不足のため名古屋発着と成田発着が実現していたJASは運行スケジュールで苦戦することとなり、まだまだJALなどの老舗航空会社が有利に立ち回っていた。

Epsode.3 ハワイスタイルの確立

1998年JALはハワイ路線のリゾート路線として明確化させることとなった「リゾッチャ計画」トロピカルな塗装の機体を運行したり、子どもから大人まで楽しめる独自のサービスを提供したり、上級クラス重視のハイグレードキャビンの機材の投入を積極的に行うなど、ハワイ路線は他の路線との違いを明確化させていった。状況が大きく転換したのは、2010年の羽田空港の再国際化であった。2010年にはハワイアン航空JALANAがこぞって羽田=ホノルル線に就航。特にハワイアン航空は搭乗した瞬間からハワイをコンセプトにハイグレードなキャビン、機内食にはハワイの郷土食ロコモコを提供するなど日本人の心を掴むことに成功、大阪、札幌、仙台(2015年に運休)、福岡(2014年に運休、2019年11月に再就航を計画)など東京からだけではなく、地方からハワイへの直行便に続々と就航していった。

Episode.4 現在のハワイ路線

現在(2019年5月1日時点)日本とハワイを結ぶ航空会社は8社、JALANAハワイアン航空デルタ航空ユナイテッド航空大韓航空エアアジアX、スクートだ。ここからは1社ずつ紹介していきたいと思う。

JAL

JALが運行しているハワイ路線は成田=ホノルルが4便/日で機材はB767-300ERを主に1便のみB787-9を使用している。GW、盆、正月などの混雑期にはファーストクラス付きのB777-300ERを使用している。名古屋=ホノルルが1便/日、関西=ホノルルが1便/日を運行していて、機材はB787-9を使用している。また成田からは成田=コナを1便/日で運行していてオワフ島だけでなくハワイ島への直行便もあることが魅力の一つ。成田からの1日4便運行しているのはもちろん最多の運行数を誇っている。時間帯も成田19:40発から22:00発まであり、またホノルルの方もホノルル発11:10発から15:20発まであり利用者の都合の良い時間を選べるのが利用者から支持を得ているポイント!シェアは33%を誇りまさにJALの牙城となっていてハワイ路線のドンである。しかし、羽田発着の便は持ち合わせておらず、2010年に開設した羽田=ホノルル線は現在、羽田発着枠をニューヨーク線に明け渡したため撤退という状態。だが、今年の羽田発着枠の配分状況によるが復活することが予想される。

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ANA

ANAが運行しているハワイ路線は成田=ホノルル2便/日、羽田=ホノルル1便/日の東京からの3便のみ。機材は最新機材のB787-9。以前は座席数の少ない旧型機材B767-300ERが投入いたが、近年はサービス、機材の面でも以前より、力を入れていることが伺える。2018年まではハワイアン航空とのコードシェアによってホノルルでの乗り継ぎで離島への路線も選択することができていたのだが、現在は提携を解消している。また、新機材超大型機材A380を投入。JALにはない、羽田発着の路線を運行しているのは魅力で羽田22:00発と国内各地からの乗り継ぎにも考慮されていて利便性が高いのは魅力の一つ。

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HAWAIIAN 

ハワイアン航空が運行しているハワイ路線は、成田=ホノルル1便/日、羽田=ホノルル1〜2便/日、羽田=コナ3便/週、関空=ホノルル1便/日、札幌=ホノルル3便/週で、全ての路線をA330-200で運行している。ハワイアン航空の最大の魅力は羽田からの路線が充実している点で出発時刻は羽田発が21:20発と23:55発。特に23:55発は月、火、木、土の4日はホノルル行、水、金、日の3日はコナ行で運行している。また最も東京の出発時刻が遅いのも利点の一つ。JALコードシェアをしておりJAL便との組み合わせ、ハワイアン航空便名での購入でもJALのマイルが貯まることも利点だろう。関空からホノルル便も運行しており、札幌に至ってはハワイアン航空のみである。

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DELTA

デルタ航空のハワイ路線は成田、関空=ホノルルを各1便/日、中部、福岡=ホノルルを5便/週で運行している。機材はB767-300ERを使用。福岡=ホノルル線はゴールデンウィーク明けで運休となる。また、羽田の新規発着枠でホノルル線の仮決定が出たことから成田発のホノルル線がこのまま継続されるのか、運休されるのかは注目である。

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UNITED

ユナイテッド航空は成田=ホノルルを1便/日で運行しており、機材は他社では中型のB787A330を使用しているのに反して大型機B777-200ERを使用。成田発は他社よりも早い18:55発でホノルルにも同日の7:00に到着するダイヤ。朝の7:00に到着するため、朝から時間を有効的に使用できる。ユナイテッドはANAとのコードシェアをしているのでANAのマイルも貯まることができる。

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大韓航空

大韓航空は以遠権フライトとして成田=ホノルルを1便/日で運行。機材はA330-300を使用している。この便はKE001/KE002を付番していることからも大韓航空の主要路線である。機内食はビビンバなどの韓国料理を楽しむことができる。

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AIR ASIA X

関空=ホノルルを1便/日で運行しており機材はA330-300を使用している。4月26日からデイリー運行となった。関空の出発時刻は23:25であり夜遅めの出発だ。しかしLCCであるため、預け荷物や機内食は有料なので注意は必要。機材はA330-300であるものの座席数はC12、Y365と同一機材を使用している大韓航空のF6、C18、Y252よりも圧倒的に座席数の多い仕様。ただ値段は圧倒的に安い。サービスや座席にこだわらなければ利用しやすいでしょう。

Scoot

関空=ホノルルを4便/週で運行。機材はB787-9を使用している。関空から2社目のLCCとして就航したが、ゴールデンウィーク以降は運休となった

Episode.5 鶴亀合戦の始まり

ハワイ路線にはANAA380を5月24日から運行を始めることとなった。この発表は日本とハワイを結ぶ路線の進化、再編など様々な変化をもたらすこととなるでしょう。ここからは各社別に見ていこうとと思う。

ANA FLYING HONU投入!

ANAが投入するA380の総座席数は520席。内訳はファースト8席、ビジネス56席、プレエコ73席、エコノミー383席仕様。ファーストは通年設置されることになるが席が埋まるのかはちょっと心配ではあるもののドア付きの個室タイプアメニティもこれを機にリニューアル。グローブ・トロッターのポーチを使用している。ビジネスクラスのアメニティもハワイ座席配列は1列ごとに1-2-1、1-1-1-1の交互の配列。ペアシートが配列されるビジネスクラスはハワイならではのこだわり。アメニティもハワイ線オリジナルを導入するなど抜かりはない。プレミアムエコノミーは2-3-2の配列窓側は全てペアシートとなっているファーストやビジネスよりも安価な値段なので利用はしやすいだろう。上級クラスだけではエコノミークラスにも力を入れている。メインデッキの1階は全てエコノミークラスであるが、後部にはANA COUCHiiを60席配置。窓側3列、中央4列が一つのセットで座席のレッグレストを上げることでフルフラットベットに変貌するのはとても魅力的だ。A380を投入するタイミングでホノルル ダニエル・K・イノウエ空港に自社ラウンジを新設。アッパーデッキに直接アクセスできる作りとなっているのは驚き!

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ANAホームページより引用 ANA LOUNGE木と白を多用した明るいイメージのラウンジ!

ここからは少し心配ごとを述べていきたいと思う。今回のA380も投入で予約数が1.5倍となったと発表されていますが、それは当然だと思います。ANAのマイルは以前から特典航空券への交換がしにくく、今回のA380の投入で特典航空券を物凄い勢いでばら撒いているわけですから、予約数は増えることでしょう。また、A380就航のコマーシャルを積極的に流したりして宣伝は十分であった。あくまでもスタートダッシュに成功したに過ぎなく、今後過度な安売りに転じる可能性もまだあり得るのでリピート客を得ていくサービスが期待される。あとは閑散期に520席が埋まるのかという問題もある。毎年6月、11月、正月明け、新学期の始めは社会人、学生ともになかなか休みが取れない時期である。ホノルル路線はビジネス路線ではない為、このような閑散期に座席を埋めることは至難の業であると考える。もちろん他の航空会社からお客さんを奪えれば良いのだが、なかなか難しいと思う。もちろん競合各社もサービス向上を挙げているので厳しそうだと思う。カウチシートの他のエコノミーもカウチシート状態にならないことを祈る。景気が悪化することとなれば旅行というのは真っ先に削減されるものの一つであるということを忘れてはいけない。問題点はまだある。A380自体だ。まずは先日発表されたA380の生産中止である。生産が中止になるということは部品の調達コストの上昇することは容易に予想できる。エアバスサポート契約を結んでいるのでその点は安心できる。日本の航空会社による4発機の復活ということだが、4発機の燃費の悪さは相変わらずである。最大のA380オペレーターのエミレーツ航空は石油が豊富に取れるアラブ首長国連邦(UAE)が本拠地で燃油代にはあまり左右されることはないだろうが、ANAは日本企業。もちろん日本では石油は取れないので燃油価格が上昇すれば苦しくなっていくのだ。それを乗り越えることができるのか今後のANAの戦略に期待したい。最後に成田発着という問題点がある。日本人からは不人気な成田。遠いというレッテルが貼られてしまっているのでなかなか厳しく国内線も貧弱な点も問題だ。もちろん羽田発着の方が収益性は高い。成田ではもちろんアジア各国からの乗り継ぎ客を取り込む必要が高い、海外でも宣伝をしていく必要が高いと思う。羽田のA380就航だが少しではあるものの進展が見られた。オーストラリアのカンタス航空が羽田=シドニーで運行しているB747-400の2020年の引退に伴い後継機であるB787-9では座席数が減少する為、A380の就航を各所に要請していることが明らかになった。A380が認められることとなればANAのホノルル線も羽田発着に変更する可能性が高くなる。羽田発着へ変更となればもちろん利便性は大きく向上するのではないだろうか?

JAL HAWAIIさらに新たなステージへ!

世間ではANAA380が注目を集めているがJALもさらなるサービスの向上で迎え撃つ。長年ハワイへ力を入れてきたJALはここでシェアを奪われまいとさらなるサービス向上に打って出た。2019年JALのハワイ線は65周年を迎え、新サービスと新ラウンジを展開して、Style Yourself ~JAL HAWAII~を展開して、リピーターの確保を狙っている。ANAを迎え撃つ。まずは機内食のリニューアルだ。エコノミークラスとプレミアムエコノミークラスでは東京、西麻布にあるレストランL’Effervescenceの生江史伸シェフが監修したメニューが、ビジネスクラスは空の上のレストランBEDDのスターシェフ狐野扶実子さんとエコノミークラスでもメニューを手がけた生江史伸シェフのメニューが提供される。機内でコナビールを提供するなどハワイだけの特別な機内食を提供した。新ラウンジ「サクララウンジ・ハレ」をこの度ホノルルダニエル・K・イノウエ国際空港にオープンさせ、ハワイは本館合わせラウンジ2つ体制に増強。ハレの方は66席と本館の200席よりも少なくこじんまりととしているものの、ガラス張りの入り口、ハワイをイメージしたインテリアを多く配置するとともにJALのコーポレートカラーの赤を織り交ぜたとても美しいデザインです。

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JALホームページより引用 ハワイの島々をJALレッドを用いたとても美しいデザインです!

提供する軽食は本館と同じもののKula&Koのパイナップルケーキが終日にわたって提供される。

ハワイ線65周年を記念して5月22日に”ARASHI HAWAII JET”(JA873J)を就航させた。機材はB787-9で初便は成田22時発ホノルル行JL782便で運行開始JALが嵐の特別塗装機を施すのは今回で5回目となる。ただし、今までの4回は国内線機材であり、国際線の機材に塗装を施すのは今回が初めて。成田、中部、関西発のホノルル線には成田は一部ではあるもののB787-9を投入しているため、運が良ければこの嵐JETに搭乗することができるかも…。ホノルル線を中心に運用されていくものの、そのほかのB787-9投入路線にも一部就航するという。2020年の12月末まで運行される。

ハワイアン航空とのコードシェアも1年を迎え、羽田の発着枠の配分によっては羽田発の便も開設する可能性も大いにあり得るJAL。ハワイといえばJALのイメージは日本人に根付いているといっても過言ではないがANAに負けじとどんどん新サービスを展開していく姿勢は利用者にとっても大きな利点となることであろう。JALは今後もハワイアン航空とのコードシェアを生かしてハワイの離島までをカバーするJAL今後はどのような展開をしていくのか楽しみです。

 

今回のANAのハワイ線へのA380の投入によって大きな転換期を迎えた日本とハワイを結ぶ路線。A380がフル稼働となるのは来年春で1日2便体制となる見通し。6月中旬からは2便が火曜、金曜、日曜になります。7月に投入予定であったものを前倒し。座席数が供給過多になる可能性もあるため今のところは大きな値下がりは各社ともないものの今後影響が出ることは必至である。ハワイアン航空も羽田の発着枠配分でホノルル線を増発することとなり、成田の路線も維持となる。来年以降路線の再編が進むこととなりそうだ。これ以上の増発で利用者を取り込むことができるのか心配なハワイアン航空ANAと同じスターアライアンスメンバーに所属するユナイテッド航空は特に心配です。またANAも油断は禁物。閑散期にあの超大型機で採算が本当に取れるのかはとても心配。選択の幅が広がるハワイ路線日本航空ANAの鶴亀戦争は幕を開けたのだ!このブログでは今後もこの鶴亀戦争の続きを追いかけていきます。

 

参考文献

JALホームページ

ANAホームページ

月間エアライン 2019.06号

月間エアライン 2019.07号